ダンジョンズA 〔3〕嘆きの湖 (なげきのみずうみ)

9.マッチョ・スワンズ(1)

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9.マッチョ・スワンズ(1)

あかまりした紅葉もみじ木々きぎ数多あまたひかいしが、そのえがしている。
メンテナンスモードにわったみずうみ壁面へきめんは、イルミネーション顔負かおまけであった。

「で、マダム・チュウ+999プラススリーナインなにすればいいの?」
あかつきが、かたうえったネズミにたずねた。
さっきまで見惚みとれていたくせに、えがはやい。

「ああ。かべ小石こいしにね、もうひかっていないのがあるのよ。それをつけて、このレーザーポインターで削除さくじょするってわけ」
なるほど、まさしくメンテナンスだ。

「そっか、わかった!」
あかつき襟首えりくびを、無言むごんあおいつかんだ。
完全かんぜんうごきを見切みきっている。
めていなければ、あと二秒にびょうで、ばしゃんとみずうみりているところだ。

げんに、もうくつ靴下くつしたいでいやがる。
「それ、およいでってやるわけ?」
冗談じょうだんじゃない。絶対ぜったいに、ごめんだ。

「いや。メンテナンスモードにしたからな。おっつけ、あいつらが出動しゅつどうしてくるだろう」
苦笑交くしょうまじりの返答へんとうがあった。
ド・ジョーだ。水柱みずばしらってちかづいてくる。
やれやれ。相変あいかわらず、真逆まぎゃくのコンビだ。

「あいつら?」
二人ふたりこえ仲良なかよわさった。
「ああ。おら、やがったぜ。あれにりゃいい」

ド・ジョーが、むなビレでしめす。
すい~っと、とおくからちかづいて姿すがたがあった。
みずうみに、これ以上いじょうないくらい、ふさわしい存在そんざいだ。

白鳥はくちょうだった。
しろ羽毛うもう優雅ゆうががる、ながくび
くちばしは、あざやかな黄色きいろだ。
あいらしい。気高けだかさをもかもしている。

四羽よんわ、いた。
黒鳥こくちょうが、一羽混いちわまじっている。
こちらは、あかくちばしだ。くろ羽毛うもうに、このうえなくえている。

「……あ、あのさ、よう白鳥はくちょうとか黒鳥こくちょうって、あんなにおおきかったっけ」
あおいが、ようのシャツをつかんだ。
こえが、かくしようもなくふるえている。

あかつきは、こてんとくびかしげた。
「なんか……おおきすぎない?」

ようも、をこすった。
「うん、どんどん巨大化きょだいかしてる。おれが、おかしいのかなあ?」
「いや、ようちかづいてきてるんだよ。おおきくなってるわけじゃない」

「あ、それなんだっけ? 幻覚げんかく、じゃない。視覚しかく、はちがうし。う~ん。このあいだ勉強べんきょうしたがするんだけどな~」
錯覚さっかく?」
おびえつつ、ももこたえた。
あおいも、びびりつつ、こくこくうなずいた。正解せいかいだ。

ようのシャツは、もはや無残むざんさまになっていた。
ももあおい両側りょうがわからすがりついて、っているせいだ。ジーンズのこしから、すっかりすそしている。
それなのに、おにいちゃんは、なんだか満足気まんぞくげだ。

スワンたちが、小島こじままえまった。
やっぱり、自分達じぶんたちよりもはるかにおおきい。
尋常じんじょうではないサイズだ。

「なんで、こんなに大っきいの?」
あかつきは、ストレートにマダム・チュウ+999にたずねた。まったこわがっていない。

かたったピンクネズミが、こともなげにった。
「ああ、きたえてるからじゃないかしら?」

きたえてる?
なんだ、それ。
いつもだったら、即座そくざにツッコんでいるあおいだが、こえない。
まえにすると、大迫力だいはくりょくだ。

四羽よんわとも、ながくびげて、うつむいている。
でかいが、楚々そそとした風情ふぜいだった。

首根くびねっこには、それぞれ、めている。
白鳥はくちょう黄金おうごん黒鳥こくちょう白金はっきんだった。
両方りょうほうとも、キラキラしている。
幅広はばひろなかには、でかでかと数字すうじ刻印こくいんされている。1、2、3、4。
管理番号かんりばんごうかな?

「1」の首輪くびわをした白鳥はくちょうが、せていたくびげた。こちらにかおく。
すると。

カッ
いきなりほのお宿やどった。
うつくしい白鳥はくちょうの、ひとみなかに。

押忍オス!」
体育会系たいいくかいけい男子学生だんしがくせいが、こえげているのかとおもった。
可憐かれん白鳥はくちょうからたとはおもえない。優雅ゆうがさとは真逆まぎゃく御挨拶ごあいさつである。
しかも、無駄むだとお美声びせいだ。

押忍オス!」
条件反射じょうけんはんしゃだ。勇仁会空手部所属ゆうじんかいからてぶしょぞく四名よんめいは、おな挨拶あいさつかえした。

四羽よんわのスワンは、すべかおげていた。
みな、熱血ねっけつにじませたつきである。

1の首輪くびわをした白鳥はくちょうが、たからかに宣言せんげんした。
点呼てんこる! イチ!」
右隣みぎどなり白鳥はくちょうが、つづける。
「ニ!」
左隣ひだりどなり白鳥はくちょうだ。
「サン!」
ラストは黒鳥こくちょうだ。
「シ!」

我々われわれはァ、」
1がリーダーらしい。さっきから音頭おんどっている。
「マッチョ・スワンズ!」
四羽よんわは、たからかに名乗なのった。
ひろげたつばさを、胸元むなもとでクロスさせたポーズだ。

うつくしさはァ、」
筋肉きんにく!」
大切たいせつなのはァ、」
筋肉きんにく!!」
最後さいごたよりになるのはァ、もちろん、」
筋肉きんにく!!!」

スワンたちは、つばさうでのようにあやつって、次々つぎつぎめポーズをった。
ボディビルダーが、ポージングしているようにしかえない。

……なんなんだ。
あおいは、水柱みずばしらっているド・ジョーに視線しせんけた。
「これ、ながいかな?」
「あー。もうわるぜ。とりあえず、これをやんねえとまねえやつらなんだ」

ふん! ふん! ふん!
連続れんぞくしてポージングをめたところで、あかつきかたから、マダム・チュウ+999がうながした。
「じゃ、この子達こたちせてやって頂戴ちょうだい
絶妙ぜつみょう間合まあいだ。

了解りょうかい!」
四羽よんわが、そろって片方かたほうつばさげた。
軍人ぐんじんが「サー、イエッサー!」とでもこたえているような塩梅あんばいだ。

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