レディ・ジェーン・グレイの処刑～ドラローシュ「レディ・ジェーン・グレイの処刑」より～

『名画の詩集』　

レディ・ジェーン・グレイの処刑

～ドラローシュ
「レディ・ジェーン・グレイの処刑」より～

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ねえ、いいの？
あなた　死んじゃうじゃない

誰も助けてなんかくれないでしょ
腰(こし)巾(ぎん)着(ちゃく)達は　嘆き悲しんでるけど
あなたの身代わりになんて
なってくれやしない

「祈りなさい」
目隠しの暗闇に　促す声
ねえ、
祈ったら　この処刑場から逃れられるの？

あなたの声が　ずっと聞こえてた

助けて　助けて　たすけて……

赤い服を着た死神は
たとえあなたを殺したって
晩ご飯のおかずが　変わるわけではないから
実は退屈なんです

ねえ、逃げ出そうよ？
せめて、戦って死のうよ？

なにが　あなたを縛っているの？
プライド？
義務感？

甘ったるいキャンディだったわよね
ぺちゃぺちゃ　なめて
ずっと本当の気持ちを言わないで
生きていたら

たとえ処刑台に首を乗せられたって
なんにも言えないまま
莫迦(ばか)な女は死んでいくんだわ

決めたの
私は　あなたになんてならない

さよなら　レディ・ジェーン・グレイ
あなたに　お別れを申し上げます

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レディ・ジェーン・グレイの処刑しょけい
　～ドラローシュ「レディ・ジェーン・グレイの処刑しょけい」より～

ねえ、いいの？
あなた　死(し)んじゃうじゃない

誰(だれ)も助(たす)けてなんかくれないでしょ
腰(こし)巾(ぎん)着(ちゃく)達(たち)は　嘆(なげ)き悲(かな)しんでるけど
あなたの身代(みが)わりになんて
なってくれやしない

「祈(いの)りなさい」
目隠(めかく)しの暗闇(くらやみ)に　促(うなが)す声(こえ)
ねえ、
祈(いの)ったら　この処刑場(しょけいじょう)から逃(のが)れられるの？

あなたの声(こえ)が　ずっと聞(き)こえてた

助(たす)けて　助(たす)けて　たすけて……

赤(あか)い服(ふく)を着(き)た死神(しにがみ)は
たとえあなたを殺(ころ)したって
晩(ばん)ご飯(はん)のおかずが　変(か)わるわけではないから
実(じつ)は退屈(たいくつ)なんです

ねえ、逃(に)げ出(だ)そうよ？
せめて、戦(たたか)って死(し)のうよ？

なにが　あなたを縛(しば)っているの？
プライド？
義務感(ぎむかん)？

甘(あま)ったるいキャンディだったわよね
ぺちゃぺちゃ　なめて
ずっと本当(ほんとう)の気持(きも)ちを言(い)わないで
生(い)きていたら

たとえ処刑(しょけい)台(だい)に首(くび)を乗(の)せられたって
なんにも言(い)えないまま
莫迦(ばか)な女(おんな)は死(し)んでいくんだわ

決(き)めたの
私(わたし)は　あなたになんてならない

さよなら　レディ・ジェーン・グレイ
あなたに　お別(わか)れを申(もう)し上(あ)げます

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